【声明】
東京高裁第10民事部の不当な控訴棄却判決を弾劾する!




2018年10月25日
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京     
控訴人団(事務局長 新孝一)
弁護団(団 長 木村庸五)

本日、東京高等裁判所第10民事部(裁判長大段亨、裁判官小林元二、裁判官浦木厚利)は、安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟において、違憲判断を示すことなく、控訴を棄却し、控訴人らの主張をいずれも排除するという不当な判決を下した。

私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京の控訴人団及び弁護団は、この判決に強く激しく抗議する。

本件訴訟は2013年12月26日に、安倍晋三首相が政権成立1周年を機に、周囲の反対を押し切って靖國神社を強行参拝したことに対して、国内のみならず中国、ドイツ、韓国、香港等の控訴人ら455名(第一審原告633名)が政教分離違反等の違憲確認と人格権等の侵害を理由として損害賠償を求めたものである。

2016年4月の第一審における不当判決に対し、控訴人らは、同年5月に控訴し、約1年半(第一審を含めると4年半)に亘る審理の中で、本件参拝及び参拝受入行為が、
①明白な政教分離違反行為であること、
②国のために死ぬことが名誉なことであるとの靖國の思想を国民に浸透させ、戦争に向かう精神的基盤を確立する行為であること、
③集団的自衛権の行使容認・改憲による立憲主義の否定などの安倍政権の諸政策と連動するものであることを、
膨大な書証及び本人尋問も踏まえて明らかにし、さらに控訴審においては、靖國神社の検証、専門家証人及び本人尋問等の証拠調べを請求して徹底審理を求めた。
しかるに、大段裁判長は、6月6日の第2回口頭弁論で弁論の終結を一方的に宣言し、控訴人らが弁論再開の申立を行ったにもかかわらず、これを無視して原告らの請求をすべて排除する判決を下したものである。

本件参拝後、防衛費が増加の一途をたどり、憲法改正を掲げた安倍首相が自民党総裁三選を果たすなど、平和憲法の諸原則が崩壊する危機にある中で、憲法の番人たる役割が期待されていたにもかかわらず、本判決は、これを裏切り、政治部門による憲法違反を野放しにして、政教分離原則を黙殺したものであると言わざるを得ない。

私たちは、これに対して強く抗議するとともに、首相その他閣僚らの靖國神社参拝行為が根絶されるまで、また安倍政権による立憲主義の蹂躙と戦争国家への道を阻止するために闘い続けることを宣言する。


【声明】
安倍靖国参拝違憲訴訟控訴審 突然の審理打ち切り・結審強行を許さない!
大段亨裁判長の不当な訴訟指揮を弾劾する!


東京高等裁判所第10民事部
 裁判長  大段 亨 殿
 裁判官  小林元二 殿
 裁判官  浦木厚利 殿


2018年6月8日
東京都西東京市柳沢2-11-13
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

 6月6日(水)、安倍靖国参拝違憲訴訟(東京)控訴審の第2回口頭弁論において、東京高裁民事第10部・大段亨(おおだんとおる)裁判長は、突如として審理を打ち切り結審し、次回期日(10月25日)を判決言い渡しとすると宣告して法廷から逃亡した。私たち控訴人、ならびに支援者一同は、この暴挙に対して強く抗議・弾劾の意志を表明するものである。

 控訴状提出から1年近く棚ざらし状態におかれた控訴審の、第1回口頭弁論が持たれたのが、この4月27日。控訴理由書において、最低最悪の「安倍忖度判決」というべき1審判決(岡崎克彦裁判長)に対する全面的な批判・反論を加えた控訴人及び代理人は、第2回口頭弁論を迎えて、これからその主張を立証し、事実を明らかにしていく実質審理が、本格的に開始されるものと期待していた。しかし、大段裁判長は、9点にわたる被控訴人に対する求釈明(控訴人準備書面3)を「釈明の必要を認めない」と切って捨て、靖国神社現地の検証申請や、元最高裁判事を始めとする学者・専門家証人、さらに控訴人本人の尋問について、その採用を却下した。そしてその後、突如として「これで結審します。判決言い渡しは10月25日13時30分」と宣言したかと思うと、席を立って法廷を後にしたのだ。

 まったくの不意打ちで、開いた口がふさがらないとはこのことだ。検証申請・証人尋問の必要性を否定しようとした裁判長の発言に、控訴人代理人があらためてその必要性を訴え、再考を迫ったところ、裁判長はいったん「合議」と称して後にひっこんだ。5分後に再登場した挙句の、突然の審理打ち切り・結審宣告であったのだ。「合議」とは、いったい何のためのものだったのか。まったくの茶番ではないか。

 10月25日という期日は、すでに事前に打診があったものである。この日が弁論期日ではなく、判決期日とされたところに、はじめから、スケジュールを決めていたのではないかという疑いを持たざるを得ない。大段裁判長は、裁判所としては控訴人の意見を聞きたいとして、二度にわたって控訴人本人の意見陳述(計6人)も認めてきたが、それも、スケジュールに合わせて、「意見を聞いた」という形式だけ整えるものであったとすれば、余りにも控訴人も法廷も愚弄したやり口ではないか。

 憲法を「素直に読んだ者」ならば、「政教分離原則違反」が余りにも明白である安倍首相の靖国神社参拝を、加害者である安倍晋三の言い分のみを取り上げて「平和の誓い」として意味付けて容認したのが、1審岡崎判決の姿勢であった。司法が「首相案件」を「忖度」して動くようなことが繰り返されてはならない。今回の結審強行によって、法廷の場において真実を明らかにし、正義を実現する機会を私たちは奪われた。大段亨裁判長らによる、突然の審理打ち切り・結審強行弾劾! 私たちは闘い続ける!


【声明】
私たちは、「大嘗祭」および天皇の「即位」にかかるすべての儀式を国が行う事について、政府の方針を撤回されるよう要請します。


2018年3月26日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
宮内庁長官 山本 信一郎 様

 政府は、天皇退位と新天皇即位の日程を、それぞれ2019年4月30日、5月1日と決め、2019年秋に予定されている「即位式」「大嘗祭」の日程も決まりつつあることが知らされています。そして官房長官を長とする政府の「式典準備委員会」は、「即位礼正殿の儀」および、「剣璽等承継の儀」をはじめとする5つの「即位の礼」関連儀式を国事行為とし、「大嘗祭」については、「宗教上の儀式としての性格を有するとみられることは否定できない」としながらも、「極めて重要な伝統的皇位継承儀式で公的性格があり、費用を(公金である)宮廷費から支出することが相当」としました。国事行為であれ、公的行為であれ、現実に国の予算が支出され、国の儀式としてなされることに違いはありません。30年前の政府見解を前例として踏襲する形で論争を避ける、というコメントも付けられていました。しかし、あらかじめ反対意見を寄せつけない形式は、民主主義にも「国民主権」にも反するものです。

 私たちは、「大嘗祭」および天皇の「即位」にかかるすべての儀式を国が行なう事について、以下のように考え、反対します。そして、政府の方針を撤回されるよう求めます。

 憲法は、主権が「国民」にあることをはっきりとうたっています。天皇は「日本国と日本国民統合の象徴」であり、定められた「国事に関する行為のみを行」うと規定されています。国事行為は実際の政治権能を持たない儀礼的な行為であって、宮内庁という役所も持つ、国家の制度(国家機関)として天皇は存在しています。さらに、憲法20条では「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という政教分離原則が定められ、99条で、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定されています。私たちは、「即位礼」「大嘗祭」を国の儀式として行なうことは、この「国民主権」「政教分離規定」「憲法擁護義務」に抵触するものと考えます。

 一連の「代替わり」儀式は、それが神道儀式であるというばかりでなく、天皇を神格化する儀式です。天皇は即位した後、「大嘗祭」という皇室神道の儀式を経て神格化するという説が有力です。神格化された天皇の名の下に始めた戦争に敗北したあと、天皇は敗戦処理のひとつとして、「人間宣言」によって自ら、「現人神」であることを否定せざるを得ませんでした。

 新天皇即位儀式のひとつである「剣璽等承継の儀」は、「日本神話」に由来する「神器」(レプリカ)を継承する宗教的儀式に他なりません。「大嘗祭」は、亀卜という占いで悠紀斎田・主基斎田の地を定め、神道儀式に則り生育させた稲を採取し、新天皇が新穀を天照大神に供え、共に食して五穀豊穣などを祈る宗教儀式です。また、国事行為とするという「即位礼正殿の儀」をはじめ一連の儀式も、即位の礼について神々に報告を行なう儀式など、宗教的な行為と結びついています。

 国の機関が、このような宗教行為を公に行なう事自体が、憲法上許されることではありません。政府は、これらの儀式を行うことを「重要な伝統的皇位継承儀式で公的性格がある」などと強弁しています。しかし、これらの「伝統」と呼ばれる儀式のほとんどが、明治以降の近代天皇制の儀式として新たに作り出されたものであり、「大正」「昭和」「平成」の「代替わり」時に行われたに過ぎない、決して「伝統」などと言える代物ではありません。

 また、「即位後朝見の儀」は、天皇が三権の長らに向かい、高い位置から即位を宣言し、「国民」を代表する首相らが下からそれに応えるという儀式ですが、それは「象徴と主権者の関係」というより「君主と臣下」の関係を表すもので、「国民主権」原則に反します。一連の儀式の意味が、天皇を神格化して主権者である「国民」の上に置く国家による儀礼である以上、それは事実上「国家神道」の祭祀であって、国家が宗教活動を行なうことを禁止する政教分離原則に対する重大な侵犯行為となります。


 以上の理由により、私たちは、天皇の「即位礼」「大嘗祭」を、国が関与して行なう事に反対し、政府方針の撤回を要請します。

安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京


【抗議文】
「安倍靖国参拝違憲訴訟・関西」上告事案の上告棄却・上告不受理(審理拒否)に抗議します


2018年1月5日

最高裁判所長官 寺田逸郎殿

 最高裁第2小法廷は、2017年12月20日付けで、「裁判官全員の一致で、本件上告を棄却する。上告審として受理しない」と決定しました。

 一部のマスコミは、それをあたかも「安倍靖国参拝は合憲」と最高裁が判断したかのごとく報道しています。私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京はこの最高裁決定に強く抗議します。

 最高裁の今回の決定の理由は、最高裁への上告が許される民訴法第312条1項および2項所定の場合に該当しないというものです。しかし、312条1項は、「判決に憲法の解釈の誤りがあるその他憲法の違反があることを理由とするときに、(上告を)することができる」という条文です。700余名の原告は、大阪地裁および大阪高裁が憲法20条違反を十分審理しないで、安倍首相の行動および、靖国神社の現状を容認したことについて、司法に再考をもとめたのです。この正当な要求を拒否したことは、憲法判断の司法機関としての役割放棄であり、安倍の靖国参拝行為は憲法違反ではないと宣告したものに等しいと言わざるを得ません。

 「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・関西」の原告・弁護団は、安倍首相および靖国神社の行為は明白に憲法20条に違反する行為だと指摘したにもかかわらず、大阪地裁及び控訴審大阪高裁は安倍首相および靖国神社の側に立って忖度した事実認定をしました。そして今回最高裁も、これらの違反行為を容認しました。

 安保法制の制定についても、立憲主義の立場から、憲法学者や歴代の内閣法制局長官らが、従来の政府の憲法解釈に照らしても許されるものではないとの見解を表明し続けたにもかかわらず、数の力で強行可決・成立させてしまいました。安倍首相の靖国参拝は、このような政治姿勢と一体のものです。あのアジア太平洋戦争を公然と肯定する靖国神社を容認する安倍首相も、また彼ら政府権力者の行為を追認するだけの司法機関も、私たちは認めることはできません。

 安倍首相の靖国神社参拝の違憲性を問う裁判は決して終わったわけではありません。私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京は、原告・弁護団・支援者の総力をあげて、高裁の場で、引き続き安倍内閣および靖国神社の政教分離違反、そして戦争のできる国づくりを推進する平和主義条項違反を明らかにして闘い続けます。

 安倍靖国参拝違憲訴訟の会・関西訴訟団に連帯して
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京訴訟団


【抗議声明】
秋季例大祭における安倍首相による靖国神社への「真榊」奉納 および、閣僚・政治家の同神社参拝・供物奉納に抗議する


2017年10月27日


 2017年10月17日、安倍首相は、17日から4日間の日程で始まる宗教法人靖国神社秋季例大祭に合わせて、「内閣総理大臣安倍晋三」の名前で「真榊」を奉納した。伊達参議院議長、加藤厚生労働大臣、水落文部科学副大臣も例大祭の日程に合わせて「真榊」を奉納。さらに、10月18日、衛藤首相補佐官が靖国神社の本殿に上がって参拝。「参議院議員・総理大臣補佐官・衛藤晟一」と記帳している。この様に首相側の側近が靖国神社に参拝し、供物を奉納することは、本人の意思はもちろんのことではあるが、2013年から2015年にかけて自民党総裁特別補佐であった萩生田光一衆議院議員が、安倍首相の「代理人」として靖国神社の春季、秋季例大祭に玉串料を納め、真榊を提示したことを踏襲したものであり、首相である安倍晋三の「代理行為」にほかならない。
 「真榊」とは、神事の際、祭壇の左右に立てられる神道の祭具(神具)である。安倍首相による「真榊奉納」は、現職の首相として靖国神社の神事への参加を意味するものであり、憲法20条第3項において禁止されている政府機関の宗教行為にあたる。明らかに信教の自由・政教分離原則を侵すものであり、私たちはここに断固抗議する。

 超党派の国会議員による「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は、22日の衆議院選挙前であることから、集団での参拝はせず、会長である自民党の尾辻元参議院副議長1人のみの参拝となったが、選挙後改めて集団参拝する予定であると明言している。
 安倍首相の「真榊」奉納後の記者会見で、野上官房副長官は、「私人としての行動に関するものであり、政府として見解を申し上げる事柄ではない」と述べているが、奉納の際の名前が「内閣総理大臣安倍晋三」となっていることについての質問に対しては、「肩書を付すことは、その地位にある個人を表す場合に、慣例としてしばしば行われることであり、指摘は当たらない」と主張した。
 安倍総理大臣は、第二次安倍内閣が発足して以降、毎年春と秋の例大祭に「真榊」を奉納しているほか、8月15日の「終戦の日」には、自民党総裁として「私費」で靖国神社に玉串料を納めている。「外交上への配慮により、参拝する代わりに真榊奉納を行なった」との解釈で度々メディアに取り上げられ注目度が上がっていることからしても、「総理として」靖国神社を賛美していることを国内外に周知するためにこれらの行為を行なっていると言わざるを得ず、「私人」としての行動とは到底認めることができない。これらの行為により、靖国神社を日本国が公式に認めているという印象を人々に与え、国内外に与える影響は計り知れないものがある。

 靖国神社は、過去の侵略戦争を「アジア解放の戦争」「自存自衛のための戦争」として美化し、A級戦犯を含む戦争指導者をはじめ、戦死者を祭神として顕彰し、遺族を慰撫するきわめて特異な「戦争神社」である。「国家神道体制」のもと、「国家総動員の戦争」を支える精神的支柱として人々を戦場へと動員し、戦争を遂行するための軍事・政治・宗教的施設としての中心的な役割を果たしてきた。思想・信条・表現の自由など、すべての人権は剥奪され、拡大する侵略戦争によってアジア諸国に償いきれない多大な犠牲を強いるとともに、多くの尊い人命が奪われてきた。
 特定秘密保護法、安全保障法関連法、盗聴法・刑事訴訟法改正が相次いで成立。安全保障関連法に基づく「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防衛」の任務を帯びた自衛隊の南スーダンの派遣。「共謀罪」の成立、教育勅語を公教育の教材として認める閣議決定、道徳の教科化…。このような状況下での首相による「真榊」奉納や閣僚・国会議員による参拝や供物奉納は、「新たな戦死者」を想定しての戦争準備行為と言わざるを得ない。靖国神社を国家と結びつけ、国家神道体制への回帰を目指す姿勢は、軍国主義の復活を彷彿とさせ、日本が過去に犯した侵略戦争への反省をないがしろにし、周辺のアジア諸国に対して脅威を抱かせるとともに、信頼回復の道を遠ざけるものである。

 私たちは、東京地裁の不当判決を経て、5月10日、東京高裁への控訴に踏み切った。政府による度重なる憲法違反行為に対して、断固抗議するとともに、今後決して、政府が憲法の政教分離原則に違反することをしないよう、強く要求する。


安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京



安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟 東京地裁判決への抗議声明


2017年4月28日


 本日、東京地方裁判所民事第6部(裁判長岡崎克彦、田邉 実、岩下弘毅)は、安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟において、違憲判断を示すことなく、原告らの請求のいずれも却下ないし棄却するという不当な判決を下した。
 私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京の原告団及び弁護団は、この判決に強く激しく抗議する。

 本件訴訟は2013年12月26日に、安倍晋三首相が政権成立1周年を機に、周囲の反対を押し切って靖国神社を強行参拝したことに対して、国内のみならず中国、ドイツ、韓国、香港等の原告ら633名が政教分離違反等の違憲確認と人格権等の侵害を理由として損害賠償を求めたものである。
 約3年に亘る審理の中で、本件参拝及び参拝受入行為が、①明白な政教分離違反行為であること、②国のために死ぬことが名誉なことであるとの靖国の思想を国民に浸透させ、戦争に向かう精神的基盤を確立する行為であること、③集団的自衛権の行使容認・武器輸出禁止原則の廃止・改憲による立憲主義の否定などの安倍政権の諸政策と連動するものであることなどを、膨大な書証と延べ18名に及ぶ原告ら本人尋問その他意見陳述によって明らかにしてきた。

 今まさに、共謀罪法案がテロ対策を口実に上程され、日本政府が国民の人権を蹂躙して戦争国家への道を突き進む中で、いかなる判決が下されるのか、憲法の番人である司法の使命が問われる判決でもあった。

 しかるに、岡崎克彦裁判長は、これらの主張立証等を一顧だにすることなく原告らの請求をすべて排除する判決を下したものであり、この点で本判決は、司法が安倍政権に全面的にへつらった「安倍忖度(そんたく)判決」のそしりを免れないものである。憲法の番人たる地位を放棄した司法権の恣意的行使と言わざるを得ない。

 私たちは、このような行政追随判決を到底容認することはできない。これに対して強く抗議するとともに、首相その他閣僚らの靖国神社参拝行為が根絶されるまで、また安倍政権による立憲主義の蹂躙と戦争国家への道を阻止するために闘い続けることを宣言する。


安倍靖国参拝違憲訴訟・東京
原告団
弁護団


大阪高裁に対する抗議声明


2017年2月28日

安倍靖国参拝違憲訴訟の会・関西

 本日(2017年2月28日)、大阪高裁は安倍首相靖国参拝違憲訴訟において、不当な控訴棄却判決を下した。

 そもそも本件参拝は、憲法第20条に明確に禁止されている国家機関(内閣総理大臣)による宗教活動であることは明らかであり、違法な参拝を受け入れた靖国神社は戦没者を英霊と意味づけることによって国民に対して英霊につづいて国と天皇のために命をささげることを促す戦争準備施設である。したがって、本件参拝は原告(控訴人)らの内心の自由形成の権利・回顧祭祀に関する自己決定権などを侵害するのみならず、平和的生存権を犯していることも明らかである。本件参拝は、けっして「人が神社に参拝する行為」一般に解消できるものではない。

 判決は、たとえ控訴人らが被っている明確な人権侵害を認める勇気を持たなかったとしても、違憲・違法な参拝が繰り返される現状に対して、憲法判断を示してこれをとどめるという裁判所が果たすべき基本的責務さえをも放棄するものであり、われわれは到底これを容認することはできない。また、われわれは、安倍政権が本件参拝を戦争準備として行ったことを原審・控訴審を通して数々の証拠を示して証明してきた。しかるに、判決は、こうした安倍参拝の本質を全く見逃している。

 かつて愛媛玉ぐし料訴訟最高裁判決に際して尾崎行信裁判官が「今日の滴る細流がたちまち荒れ狂う激流となる」という警句を以て違憲行為の早目の阻止を示したことや、小泉靖国参拝違憲訴訟福岡地裁判決において亀川清長裁判官が、違憲性の判断回避は行政の違憲行為を放置することになるからとして「当裁判所は、本件参拝の違憲性を判断することを自らの責務と考え」るとしたような憲法擁護の責務を果たす気概は現在の司法には存在しないのだろうか。われわれは、こうした司法の現状に怒りを超えて悲しみさえ覚える。

 われわれは、この判決を到底容認することはできない。これに対して、強く抗議するとともに、戦争を志向し人権を侵害する行為を見逃さない司法が確立し、今後、閣僚らの靖国参拝が永遠にとどめられるまで、闘いをやめないことを宣言する。


安倍政権閣僚による靖国神社参拝に関する
東京地裁 岡崎裁判長への要請


2017年1月7日

安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

東京地方裁判所民事第6部 裁判長 岡崎克彦 様

 私たち「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京」は、2016年12月28日、今村雅弘復興大臣が靖国神社拝殿前で参拝し、同29日、稲田朋美防衛大臣が、靖国神社昇殿参拝を行ったことに対して、安倍晋三内閣総理大臣、今村雅弘復興大臣、稲田朋美防衛大臣宛に、同封した「2016年12月閣僚の靖国神社参拝抗議声明」を提出いたしました。

 稲田朋美防衛大臣の靖国神社参拝につきましては、抗議声明でも明らかにさせて頂きましたが、12月29日午前8時頃の靖国神社参拝に先立ち、午前6時30分ごろには靖国神社参拝を関係者に事前予告し、マスコミ取材および関係者の動員という周到な準備を行った上での参拝であり、あたかも靖国神社が「国から特権を受け」ているような印象を与えるための世論操作を行っています。

 「平成26年(ワ)第9825号、同第27469号安倍首相靖国参拝違憲確認等請求事件」における原告本人尋問の際、被告側代理人は反対尋問において再三再四、原告を追い込もうとして「参拝者の一般的な個人の信教の自由」論を主張しました。しかし、今回の稲田防衛大臣の行為は、こうした論理では正当化することが不可能な、「私的行為」を明らかに逸脱する、違憲の行為であることは明白です。

 防衛大臣の靖国神社初参拝という事態に対しては、国内ばかりではなく韓国、中国、アメリカなどから抗議や、諸外国との友好親善に支障をきたすとの声が起こっていることは、ご承知のことと思います。

 岡崎克彦裁判長を始めとした東京地裁民事第6部の裁判体が、「平成26年(ワ)第9825号、同第27469号安倍首相靖国参拝違憲確認等請求事件」において、明確な違憲判決を出されない限り、稲田朋美防衛大臣と同様の、閣僚等による靖国神社参拝という違憲の行為が続くことを、私たちは非常に危惧しています。

 日本国憲法第20条に明記されている「政教分離・信教の自由」を、生きた憲法の条文として今後とも存続させるためにも、ここに改めて安倍首相靖国参拝違憲確認訴訟において厳正な判決を強く要請する次第であります。

以上

2016年12月閣僚の靖国神社参拝抗議声明


2016年12月31日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
復興大臣   今村雅弘 様
防衛大臣   稲田朋美 様

 2016年12月28日、今村雅弘復興大臣が靖国神社拝殿前で参拝し、同29日には「防衛大臣である稲田朋美が一国民として参拝した」と称して稲田朋美防衛大臣が、靖国神社昇殿参拝を行った。私たち「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京」は、この参拝は日本国憲法第20条1項「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」に、明らかに抵触する閣僚の憲法違反行為であるとして、ここに厳重に抗議するものである。

 特に稲田防衛大臣は、ハワイ訪問から安倍首相とともに12月28日夜に帰国したばかりであり、本来であれば、アジア諸国とりわけ中国、韓国との不戦の誓いを模索すべき時に、敢えて靖国神社参拝強行に及んだ。このことは、東アジアに対して喧嘩を売る行為に等しい。事実、中国、韓国からは、直ちに参拝行為に対する厳しい批判の声があがっている。
 稲田防衛大臣は、過去に「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」と発言をしている。
このような信念に基づいての防衛大臣靖国神社参拝は、東アジア諸国にとって、戦争準備行動と捉えられるのは自明のことである。  稲田防衛大臣は、午前8時頃の靖国神社参拝に先立ち、午前6時30分ごろには靖国神社参拝を関係者に事前予告し、マスコミ取材および関係者の動員という周到な準備を行った上での参拝であり、あたかも靖国神社が「国から特権を受け」ているような印象を与えるような世論操作を行っている。個人的参拝でなく政権党閣僚としての政治的参拝であることは明らかである。

 安倍晋三内閣総理大臣は、ハワイ真珠湾訪問に際し、「慰霊」という神道用語を多用し、マスコミもまた無批判に「慰霊」という神道用語を使っている。明らかに、憲法第20条3項(「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」)違反であり、私たちは厳重に抗議する。

 安倍靖国参拝違憲訴訟の大阪高裁判決は、2017年2月28日に予定されている。私たちが取り組んでいる安倍靖国参拝違憲訴訟・東京の闘いも2017年2月6日に結審が予定され、近く東京地裁で判決が行われる予定である。
 私たちは、被告安倍晋三内閣総理大臣の「個人の信教の自由」に基づく靖国神社参拝正当化論の欺瞞性を打ち砕き、靖国神社参拝違憲判決を勝ち取るために、全力を尽くして闘い続けることをここに明らかにすると共に、首相・閣僚による憲法違反の靖国神社参拝を今後、行わないことを強く要求するものである。
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

東京地裁(民事第6部・谷口園江裁判長)にすべての人証の採用を要求する! 裁判所の早期結審を許さない!

2016年5月27日

東京地裁(民事第6部・谷口園江裁判長)にすべての人証の採用を要求する!
裁判所の早期結審を許さない!

安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京
http://seikyobunri.ten-no.net/

 私たち「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京」は、2013年12月26日に安倍首相によって強行された靖国神社参拝に抗議し、多数の外国人原告を含む633人の原告団をもって、国、安倍晋三、靖国神社を被告とする裁判を2014年4月21日に東京地方裁判所に提訴しました。これは、政教分離はもとより、表現の自由や平和的生存権の侵害を問いただす裁判として、広く国内外のマスコミの注目を浴びているところです。
 安倍首相は、2013年の靖国神社参拝ののちも、靖国神社の例大祭などへ「内閣総理大臣」名で「真榊」や「玉串料」支出などの違憲行為を繰り返しています。さらに、2016年5月26日・27日の伊勢志摩G7サミットも、安倍政権の強い意向で、神社本庁が本宗とする伊勢神宮の存在を大々的に宣伝する場としても利用されています。これらの一連の行為が、日本国憲法第20条(【信教の自由】第1項 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。)に抵触する行為であることは明らかであり、こうした違憲の行為に歯止めをかける上で、裁判所の果たすべき役割は極めて大きいものがあるといわなければなりません。
 それなのに、2016年1月28日、大阪地方裁判所(佐藤哲治裁判長)は、関西の安倍靖国参拝違憲訴訟にたいして、靖国神社が「一般の神社とは異なる地位」を持ち、しかも首相の靖国参拝が社会的に強い影響力を持つことを一方で認めながら、不当なことに安倍首相の発言の表面部分をなぞり、憲法判断を避けた判決を下しました。すでに、仙台高裁(1991年)、福岡高裁(1992年)、福岡地裁(2004年)、大阪高裁(2005年)では、首相の靖国参拝、あるいはその継続についての違憲判決が確定しているにもかかわらず、三権分立における司法の重大な役割を自ら放棄した判断といわざるをえません。
 本裁判所においても、谷口園江裁判長による訴訟指揮は、最初から、原告側の求釈明から逃げるばかりの被告側の態度を容認し、かつ原告本人の陳述も大きく制限するものでした。裁判はこれから証拠調べ・尋問の段階に入りますが、人証申請に対して裁判所は消極的であり、人数制限や学者証人の不採用といった姿勢をちらつかせています。原告の国籍も多岐にわたり、その属性や被侵害利益も多様であるのに、十分な審理も行わないまま、早期の結審を図ろうとしているのではないかと危惧します。

 昨年12月8日、私たちは、東京地方裁判所民事第6部宛てに、6,708筆の「安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟の公正な判決を求める署名」を提出しました。裁判所はこれらの声に応えて下さい。原告側が申請する証人をすべて採用して下さい。そして、裁判所は早期結審を図るのではなく、十分な期日をもって審理を尽くすことを、私たち原告ならびに支援者は強く要求します。

靖国神社春季例大祭における、安倍首相の「玉串料奉納・真榊(まさかき)掲示」を許さない

2016年5月27日

抗議声明

靖国神社春季例大祭における、安倍首相の「玉串料奉納・真榊(まさかき)掲示」を許さない


 2016年4月21日からの靖国神社春季例大祭に際して、安倍首相は靖国神社に「玉串料」を納め、靖国神社には「内閣総理大臣 安倍晋三」の名のついた「真榊」が本殿に掲げられた。
 神事の場に立てられる祭具である「真榊」はもちろん、「玉串料」も「宗教的意義を有する」ものであり、首相によるその支出行為は違憲である。
 1997年4月2日に出された愛媛県による靖国神社への玉串料等の支出をめぐる違憲訴訟において最高裁は、「玉串料及び供物料は、例大祭又は慰霊大祭において宗教上の儀式が執り行われるに際して神前に供えられるものであり、いずれも各神社が宗教的意義を有すると考えていることが明らかなものである」として明確な違憲判決を下した。
 同判決が指摘するように、憲法の政教分離原則は、「我が国では、大日本帝国憲法に信教の自由を保障する規定(28条)を設けていたものの、その保障は『安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ』という同条自体の制限を伴っていたばかりでなく、国家神道に対し事実上国教的な地位が与えられ、ときとして、それに対する信仰が要請され、あるいは一部の宗教団体に対し厳しい迫害が加えられた等のこともあって、同憲法の下における信教の自由の保障は不完全なものであることを免れなかった」歴史に対する反省から、「明治維新以降国家と神道が密接に結び付き右のような種々の弊害を生じたことにかんがみ、新たに信教の自由を無条件に保障することとし、更にその保障を一層確実なものとするため」に設けられた規定である。同判決はこれに照して、「靖國神社及び護國神社は憲法89条にいう宗教上の組織又は団体に当たることが明らかであるところ、……本件玉串料等を靖國神社又は護國神社に前記のとおり奉納したことによってもたらされる県と靖國神社等とのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと解される」として、違法であると判決したものである。
 2013年12月26日に、靖国神社を参拝した安倍首相は、それは「私人」による「私費で行った行為であり、憲法に抵触しない」と主張していた。しかし、その後安倍首相自身は靖国神社に参拝していないとはいえ、2013年から2015年にかけて自民党総裁特別補佐であった萩生田光一衆院議員が、安倍首相の代理人として靖国神社の春季・秋季例大祭に「玉串料」を納め、「真榊」が掲示されている。小泉元首相は「議員やめてから一度も靖国に行ってないよ」「総理だから行くんだ」と明確に述べたが(常井健一『小泉純一郎独白』、文芸春秋)、安倍晋三も、私人安倍ではなく「内閣総理大臣安倍晋三」として、靖国神社に玉串料を奉納し真榊を掲示したのであり、「総理として」靖国神社を賛美していることを周知するために、これらの行為を行ったことは明らかだ。
 靖国神社は、過去の侵略戦争を反省せず、それが自存自衛の戦いであったと表明し、戦争指導者を含めた戦死者を祭神として顕彰(褒め称える)し続ける特異な戦争神社である。首相の靖国神社参拝、春季・秋季例大祭に継続して真榊を掲示する行為が、靖国神社を日本国が公式に認めているという印象を、国内外に与えることは明らかである。
 靖国神社春季例大祭にあたっては、議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の92名が集団参拝し、尾辻秀久会長(自民党参院議員)はわざわざ、記者会見まで行った。高市早苗総務相、三笠宮瑶子らもそれぞれ靖国参拝し、大島理森(ただもり)衆院議長や山崎正昭参院議長らの真榊も掲示されている。
 さらに、2016年5月26日・27日に開かれた伊勢・志摩サミットが、神社本庁が本宗とする伊勢神宮の存在を大々的に宣伝する場としても利用されたことも、政教分離原則違反の観点から私たちは深く憂慮する。
 私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京は、安倍首相の靖国神社参拝に対して、多くの在外原告も含めて、政教分離違反、信教の自由の侵害、宗教的人格権の侵害、平和的生存権の侵害を主張して提訴に踏み切り、現在までに7回の口頭弁論を重ねてきた。私たちは、その後も積み重ねられている安倍首相と国による、公然たる政教分離違反を強く批判し、今回の安倍首相の靖国神社春季例大祭への「玉串料奉納・真榊掲示」という行為を断じて許さないことをあらためて明らかにし、安倍靖国参拝違憲訴訟をより強固に推し進めていくことをここに宣言する。
2016年5月27日
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京 第2回総会

安倍首相靖国参拝違憲訴訟・大阪地裁の不当判決に抗議する声明

2016年2月19日


安倍首相靖国参拝違憲訴訟・大阪地裁の不当判決に抗議する


 2016年1月28日、大阪地方裁判所(佐藤哲治裁判長)は、戦没者遺族ら765人が安倍首相と国、靖国神社を相手取り、参拝差し止めと1人あたり1万円の損害賠償を求めた安倍首相靖国参拝違憲・関西判決で、憲法判断を示さず原告側の請求棄却の判決を行った。
 私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京は、今回の大阪地裁不当判決を、断じて認めることはしない。

 佐藤哲治裁判長は判決の中で、「靖国神社は国事に殉ぜられたる人々を泰斎すること等を目的とするものであり、その歴史的経緯からして一般の神社とは異なる地位にあることは認められ、また、行政権を有する内閣の首長である内閣総理大臣の被告安倍が本件参拝をすることが社会的関心を喚起したり、国際的にも報道されるなど影響力が強いことは認めることができる。」と、認めている。
 そのうえで判決は、内閣総理大臣である被告安倍が靖国神社参拝後に述べた「今の日本の平和と繁栄が、現在の日本人のみで成り立つものではなく、戦場に倒れた多くの方々の尊い犠牲の上にあることに改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って参拝した。過去への痛切な反省の上に立って、二度と戦争を起こしてはならないと考えている。」という参拝後の発言を敢えて引用し、靖国神社参拝や靖国神社参拝受入れが、合祀者の死を「国(あるいは天皇)のために喜んで死んだ」のだと意味付けるものでもなく、その布教宣伝に利用したものとも解されない。」と、結論付けている。
 しかし、靖国神社の教義の中心は、まさに裁判所が否定したところの、合祀された「英霊」は国あるいは天皇のために「喜んで死んだ」と意味付けることにあり、すなわち「国のための死」を顕彰・賛美するところにある。そこに首相として参拝することを通じて、被告安倍は、来たるべき戦争において、「国のために死ぬこと」の「尊さ」を訴えたのである。
 大阪地裁の解釈は、安倍の発言の表面的な部分をそのまま追認することで、こうした事実を隠蔽した。それは敢えて言えば、靖国の教義に対する、「司法の宗教に対する介入行為」でさえあるのだ。
 さらに判決は、政教分離規定のみならず、平和的生存権に対しても、その「権利の具体的な内容は曖昧不明確」として事実上否定した。また、過去に小泉純一郎元首相の靖国参拝をめぐり、福岡地裁(04年4月)、大阪高裁(05年9月)で違憲判断が示されたことに対し、「裁判所がある事件に関し、公務員の特定の職務行為が違憲であると判断したとしても、その後の社会、経済情勢の変動や国民の権利意識の変化等によって裁判所の判断が変わることもあり得る」とした。これは、まさに、司法が行政におもねることを自ら認めるもので、三権分立という民主主義の根本理念を忘れ去った暴論である。
 安倍首相は2016年1月5日、閣僚らとともに伊勢神宮を参拝した。さらに、2016年5月26日・27日に開催されるサミット会場を、「日本の美しい自然、豊かな文化・伝統を、世界のリーダーたちに肌で感じてもらえる場所にしたいと考え、三重県で開催する」と「伊勢志摩サミット」に決定し、「伊勢神宮は悠久の歴史を紡いできました。そして、たくさんの日本人が訪れる場所であり、日本の精神性に触れていただくには大変良い場所だと思います。ぜひG7のリーダーたちに訪れていただき、伊勢神宮の荘厳で凛とした空気を共有できればよい」とも語っている。
 戦前、帝国主義的国家神道下において、伊勢神宮・靖国神社が、まさに判決文が述べているように「一般の神社とは異なる地位」にあったことは、歴史の事実である。安倍らは、それを現在においても自らの参拝などによって「一般の神社とは異なる地位」に置き続けようとしているのだ。

 私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京は、これまで大阪の訴訟と連帯しながら、安倍首相の靖国神社参拝に対する訴訟を闘ってきた。私たちは今後も、東京における裁判を通して、2013年12月26日に行われた安倍晋三首相の靖国神社参拝が、日本国憲法20条(政教分離=国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない)に違反することを明らかにし、安倍首相ら被告の行為が、市民の平和的生存権を脅かし個人の生命、自由、幸福追求の権利を阻害していることについて追及し続けることを、ここに明らかにする。

2016年2月19日・第7回東京地裁口頭弁論の日に
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

東京地裁は公正な判決を!

2015年12月8日


「安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟の公正な判決を求める署名」提出にあたって

2015年12月08日
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

 私たち「安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京」は、本日(12月8日)東京地方裁判所民事第6部に、「政教分離はもとより、宗教的人格権、平和的生存権に関わる裁判として国内外の注目を受けている本裁判の重要性に鑑み、いたずらに憲法判断を回避し形式的な判断にとどまることなく、司法の公正な判決をしていただけますよう、強く要望」する「安倍首相靖国神社参拝違憲訴訟の公正な判決を求める署名」6,708筆を提出いたしました。
 すでに仙台高裁(1991年)、福岡高裁(1992年)、福岡地裁(2004年)、大阪高裁(2005年)では、首相の靖国参拝、その継続について違憲判決が確定しています。これらの違憲判決にも関わらず2013年12月26日、安倍首相は「内閣総理大臣」と記帳し、靖国神社昇殿参拝を強行しました。
 私たちは直ちに、2014年4月21日、国、安倍晋三、靖国神社を被告として東京地方裁判所に提訴し、633人の原告団による裁判が行なわれています。しかし、私たちの提訴後も安倍首相は、2015年10月の靖国神社秋の例大祭などへ「内閣総理大臣」名で「真榊(まさかき)」や「玉串料」支出など違憲行為を繰り返しています。
 また2015年靖国神社秋の例大祭には、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」71人が集団参拝し、岩城光英法相、高市早苗総務相、三笠宮瑶子も、それぞれ参拝しています。島尻安伊子沖縄・北方担当大臣の資金管理団体に至っては、選挙区である県内の神社に「初穂料」を支出しています。
 これら一連の行為が、
日本国憲法第20条 【信教の自由】第1項 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、 又は政治上の権力を行使してはならない。
に抵触する行為であることは明らかです。
 私たちは、首相などの靖国参拝違憲判決を獲得するまで、原告・支援者と共に、粘り強く裁判闘争に取り組む決意を、署名提出にあたって改めて表明します。

2015年12月8日
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

安倍晋三首相の靖国神社に対する真榊奉納に抗議する

2015年4月30日


内閣総理大臣 安倍晋三 様

安倍晋三首相の靖国神社に対する真榊奉納に抗議する

2015年4月30日
〒202-0022 東京都西東京市柳沢2-11-13
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京

 私たち安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京は、2015年4月21日に安倍晋三内閣総理大臣が、靖国神社の春季例大祭に再び「真榊」(真榊料5万円)を奉納したことを断固抗議します。
 安倍首相は第2次内閣発足から丸1年が経過した2013年12月26日、宿願であった靖国神社参拝を突如敢行しました。私たちは、この安倍首相の靖国神社参拝に対し、2014年4月21日、国、安倍晋三、靖国神社を被告として、損害賠償請求、参拝の違憲確認、参拝差し止めを求めて東京地方裁判所に提訴し、2014年10月17日には第2次訴訟を提起しました。原告は日本在住332人、海外原告301人、合計633人に達します。訴状においても指摘していますが、靖国神社への「真榊」奉納は、安倍首相の靖国神社参拝と連動した一連の行為です。
 2013年4月21日、安倍晋三総理は、春季例大祭中の靖国参拝は見送りましたが、「内閣総理大臣 安倍晋三」の肩書で真榊を奉納しました。また、同年8月15日の終戦記念日にも靖国神社への参拝は見送りましたが、萩生田光一・自民党総裁特別補佐に「本日は参拝できないことをおわびしてほしい」との伝言を託し、「国のために戦い,尊い命を犠牲にされたご英霊に対する感謝の気持ちと尊崇の念を込めて」自民党総裁の肩書で玉串料を奉納しました。さらに、同年10月17日の秋季例大祭にも、内閣総理大臣 安倍晋三」の肩書で、私費で真榊を奉納しています。
 菅義偉官房長官は、2015年4月21日の記者会見で、安倍内閣総理大臣が、真榊を靖国神社に奉納したことについて「首相の私人としての行動に関することなので、政府として見解を申し上げない」と述べたと報道されていますが、「真榊」は、「祭祀の際に玉串などとして神前に供えられる木」(『神道事典』)であり、明確に神社神道の神祭用具の一つです。
 「内閣総理大臣安倍晋三」と記した真榊が、衆人が見ることが出来る靖国神社本殿に置かれたことは、日本国憲法第20条の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」に違反する重大な憲法違反行為と言わざるを得ません。
 1997年4月2日「えひめ玉串料違憲訴訟」では、愛媛県が公金支出した玉串料について、香典など社会的儀礼としての支出とは異なり、靖国神社という特定の宗教団体に対する援助・助長・促進になるとして、最高裁で憲法20条3項の政教分離と同89条に違反するとの違憲判決が出されています。
 また、岩手玉串料違憲訴訟においても、1991年1月10日に仙台高等裁判所は、首相が公式参拝するのは国家体制が他の宗教団体に比して靖国神社を特別視しているとの認識を国民に与えるため違憲である旨判決しました。この判決は確定しています。
 1992年2月28日の九州靖国神社公式参拝違憲訴訟では、福岡高等裁判所が公式参拝の継続は靖国神社への援助、助長、促進となるとの違憲判決を行っています。
 真榊奉納に対して、中国外務省の洪磊副報道局長は4月21日の記者会見で、「日本の指導者は、侵略の歴史を正視・反省した歴代内閣の約束を厳守し、実際の行動でアジアの隣国と国際社会の信頼を得なければならない」と批判しており、韓国外務省報道官も定例記者会見で「政治指導者が敬意と感謝を表明したのは日本が戦後国際社会に復帰した前提と国際秩序を否定する行為だ」とするなど、国際的な批判が起きています。
 私たちは、靖国神社に対する真榊奉納が靖国神社を援助助長する行為であり、断じて許されない行為であることを表明し、今後、このような違憲行為を絶対に行わないように強く求めるものです。