国答弁書
平成13年(ワ)第26292号 損害賠償等請求事件
原 告 ○○○○ほか242名
被 告 国ほか3名
答 弁 書
平成14年3月11日
東京地方裁判所民事第12部合議D係 御 中
被告国指定代理人
〒100−8977 東京都千代田区霞が関一丁目1番1号
法務省大臣官房
参 事 官 野 本 昌 城
法務省大臣官房民事訟務課
課 付 斎 藤 繁 道
課 付 藤 谷 俊 之
法務専門官 佐 藤 武
第一係長 梅 村 上
係 員 高 橋 秀 典
係 員 熊 谷 健
〒100−8255 東京都千代田区九段南一丁目1番15号
九段第2合同庁舎
東京法務局訟務部(送達場所 中島あて)
(電話03-5213-1293)
(FAX03-5213-1378)
部 付
武笠圭志
部
付 新谷貴昭
上席訟務官 池田和芳
訟務官
中島育子
〒100-8968 東京都千代田区永田町一丁目6番1号
内閣官房
内閣参事官 村上康聡
内閣事務官 松永榮治
内閣事務官 清武世子
被告国は、本答弁書において、原告らの被告国に対する金銭支払請求に関してのみ答弁する。被告国のその余の答弁は、平成14年3月11日付け求釈明書に対する原告らの釈明を待って行う。
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの被告国に対する本訴請求のうち、原告らそれぞれに対して金3万円及びこれに対する平成13年8月15日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員の支払を求める請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
仮執行の宣言は相当でないが、仮に仮執行宣言を付する場合には、(1)その執行開始時期を判決が被告に送達された後14日経過したときとされること
(東京高裁平成6年3月30日刊決・判例時報1498号25ページ参照)、(2)担保を条件とする仮執行免脱宣言を求める。
請求の原因に対する認否
1 被告国に対する金銭支払請求に係る請求原因事実は、明確性を欠く部分が多く、認否の要否の判断も困難であるが、請求原因事実を、「被告小泉純一郎(以
下「被告小泉」という。)が、平成13年8月13日に、内閣総理大臣の職務として宗教法人である靖国神社を参拝したことにより、原告らの有する信教の自
由、宗教的人格権、思想信条の自由が侵害されたので、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めるもの」と解した上、必要な範囲において認否する。
「1.当事者」について
(1)(1)は不知。
(2)(3)のうち、被告小泉が内閣総理大臣の地位にあること、内閣総理大臣が憲法72条の職務を負い、同99条の義務を負うことは認める。
「2.被告小泉の靖国神社参拝」について
(1)(1)について
被告小泉が平成13年8月13日、靖国神社に赴き、本殿において一礼する方式で参拝したこと(以下「本件参拝」 という。)は認め、その余は知らない。
(2)(2)について
被告小泉が靖国神社への往復に公用車を用いたことは認めるが、公務として参拝したことは争う。
(3)(3)について
被告小泉が、靖国神社参集所において「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳したこと、「献花内閣総理大臣小泉純一郎」との名札のついた献花をしたことは認
める。なお、被告小泉の上記献花代3万円は、同年8月13日に先立って、同被告の私費で支出されたものである。
(4)(4)について
被告小泉の自民党総裁選挙中の発言については知らないが、平成13年5月14日の衆議院予算委員会における被告小泉の答弁の中に、「内閣総理大臣として参拝するつもりである。」旨の発言部分があることは認める。
(5)(5)について
被告小泉が本件参拝後、報道陣の質問に対して、引用に係る趣旨の応答をしたことは認める。なお、被告小泉は「公式とか私的とか。私はこだわりません。」と応答したものである。
「4、本件両参拝の違憲性」について
(1)「(1)靖国紳社の宗教団体性」について
靖国神社が宗教法人法に基づき、東京都知事の認証を受けて設立された宗 教法人であることは認める。
(2)「(2)本件両参拝の宗教行為性」について
Aのうち、被告小泉が靖国神社本殿において一礼したことは認め、その余は不知ないし争う。
「(3)靖国神社への強いこだわり」について
ア Bのうち、被告小泉が、平成13年5月14日の衆議院予算委員会において引用に係る趣旨の答弁をしたこと、同年8月13日に本件参拝を行ったことは認める。
イ Cにつき、被告小泉が靖国神社を参拝したことは認めるが、内閣総理大臣の資格で参拝したとの主張は争う。
(4)「(4)戦没者追悼の形」について
Aにつき、引用に係る判例の存在は認める。
(5)「(5)宗教的活動該当性」について
引用に係る判例の存在は認め、被告小泉が内閣総理大臣の資格で靖国神社を参拝したとの主張は争う。
(6)「(6)」について
争う。
5 「5.原告らの権利、ないし法的に保護された利益の侵害」について
本件参拝によって原告らの権利ないし法的に保護された利益の侵害があったことは争う。
被告国の主張
被告小泉の本件参拝は、内閣総理大臣の資格で行われたものではないから、公務員の職務行為として行われたものではない。また、本件参拝により、原告らの法律上保護された具体的権利ないし法益が侵害されたものともいえない。
したがって、本件金銭支払請求は、国家賠償法1条1項の要件を具備せず、失当であるから、速やかに棄却されるべきである。
附 属 書 類
1指定書 2通
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